わたしと女子プロレス 2

里村明衣子選手が好きになった」と友達に話したら、
「雨宮さん、『劇場版プロレスキャノンボール2014』観てたよね? あれに里村選手が出てたの、覚えてない?」と言われた。
はっとした。そこでつながった。

劇場版プロレスキャノンボール2014』とは、DDT(男子のプロレス団体です。とても有名で人気があります)が『テレクラキャノンボール』の発想を借りて、何チームかに分かれて「北に向かいながら、とにかくプロレスしてくれる相手を探して、勝ち、負け、引き分けのポイント制で点数を競う」という、ロードムービー的なドキュメンタリーだ。

その中で、確かに里村選手が出ていた。
最初は、普通の練習着みたいな服装で、センダイガールズプロレスリング道場に現れたDDTの選手たちに、にこやかに対応していて、
その姿はめちゃくちゃ「普通の優しそうな人」だった。
試合をしてくれと申し込むと、里村選手はあっさりと「いいですよ」と笑顔で言う。

そのあとがすごかった。
コスチュームに着替えて現れた里村選手は、さっきまでの気さくないい人とはまるで別人で、
男子相手に、きちんと試合をする。

「まるで別人」って、ひとことで書くのは簡単だけれど、
演出もなにもない映像の中でそれが映るっていうのは、相当のことだ。
「プロレスラーがリングに上がるっていうのは、こういうことなのか」とぼんやり思ったのを覚えている。

『プロレスキャノンボール』全体では、「気合を入れてリングに上がる」「リングの上では別人になる」ということではなく、
普段の場所で、なんでもないところでいきなりプロレスを始めるという、やんちゃな面白さ、自由さが中心になっているので、
『プロレスキャノンボール』という作品の面白さや良さはそういうところにあると思うのだが、
それとは別のところで、なんだかかっこいい女の人がいた、というのは記憶に残っていた。

すごく異質だった。
あれが里村選手だったのか、と気がついた。

里村選手のことを、あまりプロレスを知らない人に話すとき、

『プロレスキャノンボールの〜』と説明すると、

「ああ、あの人!」と言われる。
里村選手の出演時間は、そんなに長いわけではないけれど、
すごく常識人っぽい、優しそうな人が、

リングに上がると、すごいプロレスラーに変身する、という場面が、
やはりすごくインパクトがあったのだ。
それって両立できるの? というような真逆の人格が一人の人間の中にある、ということが、とても面白く見えたのだと思う。

※今月、東京では上映中のようです。

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