本日の雨宮

ジーニアスバーに行って、ジーニアスたちにiPhoneの修理をお願いする。ジーニアスでも二時間ほどかかるというので、イメージフォーラムで「皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇」を観る。

映画としてそんなに面白いというわけではなかったけれど、出てくる事実だけで十分興味をひかれるのと、けっこうな確率で殺されそうな場所に行って撮影してきた貴重な映像だということで観る価値はあったと思った。あと、出てくる麻薬の量がとにかくケタ違いで、リアルでもフィクションでも(映画撮影の現場に行く場面がある)、すごい多かった。小麦粉をぶちまけた感じのコカイン、ビニール袋いっぱいの覚醒剤がゴロゴロ……。チワワが机の上に飛び乗るたびに「吸い込んで死ぬんじゃないか」とヒヤヒヤした。むごたらしい場面は多少あるが、むごたらしさよりも「本物の死体」に二回ほど貧血を起こしそうになった。

本物の死体だったらなんだというのだろう。「本物の死体」だから、頭がクラクラするというのは、それはそれでただ、条件反射みたいなものじゃないのか。「死」というものに対して、わたしはまだどういう距離を取ればいいのかよくわからない。

劇場に入るとき、完全に「出先で仕事が早く終わっちゃって、なんかマニアックな映画やってそうだからノリで観ちゃお」的なサラリーマンとOLの四人組(2:2で20代後半〜30代前半ぐらい)がいて、「やっべーもん観ちゃうぜ!」って感じにニヤニヤしていて、そのワクワク感がまぶしかった。楽しそうでうらやましかったな……。

iPhoneは無事に直って、受け取って帰る。携帯を持たない数時間が心細くて新鮮だった。